どうすれば大学教員になれるか

 「生存者バイアス」という言葉があります。大学教員に成れた人の話には、成れなかった場合が欠落しているので一面的です。ならば成れた人、成れなかった人両方の話を聞いて決定的な違いがあればそれが答えなのですが、多分そんなものはありません。同じようにやっても大学教員に成れる場合もあれば、なれない場合もあります。結局、決定的な要因は運なのです。教員を教授と読み換えても同じです。

 「運なんて言われてもどうしようもない」と思われるでしょう。でも、こればかりは致し方ないのです。ただ、運が巡ってくる確率を上げる方法はあります。それは、縁です。これまた抽象的ですね。少し掘り下げてみます。

 縁は人とのつながりです。当たり前ですね。ポジションを得るにしても、研究費を獲得するにしても、研究を進める場合にも他人との関わり合いが大切です。もちろんぐうの音も出ない程の業績があれば、ポジションや研究費はついてくるでしょう。しかしほとんどの場合、多人数の横並び状態です。私やあなた程度の研究者はたくさんいるのです。ドングリの背比べの中で採用の確率を上げるプラスアルファが縁なのです。

 縁は作ることができます。方法は単純で、真摯に他人と関われば良いのです。ただし他人と関わるだけでは、縁は作れません。真摯な態度が必要です。真摯と言っても、何か高度なことではありません。裏切らない、見下さない、見捨てない、卑屈にならないなど普通のことを実践すれば良いだけです。

 一方、他人と関わるには動かねばなりません。学会や研究会、勉強会など人が集まる場にコミットする必要があります。研究室に居るだけでは、あなたを知るのはあなただけです。「コミットする」とは、参加だけを意味しません。討論で質問したり、懇親会で話をしたりを含みます。そこであなたの存在は他人の記憶に刷り込まれます。他人に認知されて初めてあなたは何者かに成るのです。

 科学者を志す人の多くにとって、そういうのが億劫なのは良く分かります。しかし、研究内容は第一に論文、第二に学会発表で知らせることができますが、その他の属性については直接関わって知ってもらうしかありません。温和な性格、鋭い頭脳、辛抱強さ、責任感の強さなどの良い属性を書類で伝えるのは難しいでしょう。ところが教員採用の場合、研究業績がコンパラブルであれば、案外そういう部分が大事な要因なのです。その部分がまさにプラスアルファです。

2016年07月12日