変温動物の長期骨髄培養

 造血細胞の培養方法の1つに長期骨髄培養(LTBMC)と呼ばれる方法があります。骨髄細胞を培養液を入れた培養フラスコの中に吹き出して,一定の期間ごとに培養液を少しずつ交換しながら培養するという方法です。うまく培養を続けると,長い間,フラスコの中で様々な血液細胞を生み出すのが観察できます。変温動物の造血を研究するために,この長期骨髄培養法をアマガエルに適用して,その骨髄における造血を観察しました。浸透圧や温度をうまく調節すると,カエルの細胞でも長期骨髄培養が出来ました。フラスコの中には,不定形の造血支持細胞と円形や楕円形の血液細胞が増殖しているのが観察できます。この楕円形の細胞は哺乳類であるマウスのLTBMCにはみられない特徴的な細胞で,哺乳類の巨核球に相当する栓球細胞です。



変温動物の血液細胞に関する研究


 哺乳類の血液細胞には巨核球細胞があり,この細胞がつくり出す血小板が止血に際して重要な役割を担います。これに対して,哺乳類以外の脊椎動物には血小板はありません。血液細胞の1つである栓球細胞が,出血部位で直接凝集して止血を行いますがこの細胞の増殖・分化や凝集機構については殆ど解明されていません。アマガエルの長期骨髄培養からこの栓球細胞株(FUHEN)を樹立することに成功しました。この細胞は,浮遊性増殖をしながら成長に伴って巨大化すると共に,多核化します。真核生物の培養細胞株でこのように多核化する細胞はありません。この細胞株を使って,栓球細胞の増殖組織,哺乳類の巨核球細胞で見られる多核化のメカニズム,幹細胞性の維持機構の解明を目指しています。写真は,この細胞表面に対する蛍光抗体(緑色)と核を染める染色液で染色した細胞です。
さらに詳しく(FUHEN細胞)

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