アサガオの生理学
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花成生理学序論
花成生理学とは何か

 植物は一定期間の栄養成長の後に花を咲かせる。花が咲くまでの過程は、花芽の分化、発達、成熟した蕾における花弁の展開の各素過程に大別できる。花芽の分化は、それまで存在しなかった新しい器官が形成されるという意味で、植物の発生における重要な転換点である。栄養成長から生殖成長への転換、栄養相から生殖相への移行を花成と呼ぶ。「花成」とはもともと「花芽形成」の略語であるが、花芽という形ができることではなく、栄養成長から生殖成長への成長様式の生理学的な転換を意味する。この成長様式の転換の仕組みを明らかにしようとするのが花成生理学である。花成生理学で言う「花成」とは花が咲く一連の過程の出発点であり、形態学的に認識できる花芽の形成をもって「花成が起こった」とみなす。
 花成は発生の特定の時期における花成遺伝子の活性化によって起こる。この遺伝子の活性化は自律的に、あるいは、環境要因が引き金となって起こる。自律的に起こる花成は植物が一定の齢に達したときにおこり、光周的花成でいう中性植物の花成がこれにあたる。花成遺伝子を活性化する引き金となる環境要因には光周期・低温・ストレスがある。光周期による光周的花成と、低温によるバーナリゼーションがくわしく研究されている。
 近年、花成研究の分野でも分子生物学・分子遺伝学の援用が急速に進み、また、隣接分野として花形態形成の分子生物学・分子遺伝学が著しく発展してきた。それにともなって、従来の花成生理学との間に理解の乖離が生じ、また、花成と花形態形成が混同される傾向もみられるようになってきた。そこで、花成とは何かを見直しておきたい。


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