研究紹介

井筒研究室(動物学系)

教員

研究分野

発生生物学・免疫学

研究テーマ

  1. 動物の体作りに関わる獲得免疫系
  2. 両生類の幼生から成体への器官形成
  3. 皮膚組織の作り変えの分子メカニズム

研究概要

 当研究室では、アフリカツメガエルを用いて「発生生物学」と「免疫学」のちょうど中間の分野にあたる研究を行っています。具体的には、「動物の発生過程で起こる体の形づくり」に関わる、「免疫システムの自己・非自己の認識機構」に焦点を当てて、研究を行っています。両生類は不思議な生き物です。両生類の一種であるアフリカツメガエルは、魚のような形をした幼生(おたまじゃくし)から4つ足がはえた成体(カエル)へと大規模な体のつくり変えをする動物ですが、このとき、幼生タイプの細胞を全て捨ててしまいます。正しくは、自ら壊してしまいます。免疫系もまた変わります。魚タイプのとても自分と違うものしか見分けられないような曖昧なものから、我々人間を含む哺乳類と同等の、自己・非自己を厳しく見分けるものへと変わります。幼生の時いったん作り上げた自分の尾を、カエルの免疫系は「非自己」とみなし、拒絶してしまう。そのため両生類ではカエルになると尾が無くなるのではないか、と私たちは考えています。このような発想は井筒らのグループ以外国内外にありません。その考えの根拠となることとしては、カエルの免疫系は、同じ系統のオタマジャクシの尾部の皮膚移植片を拒絶すること、また、成体免疫細胞は、幼生の表皮細胞を非自己として認識し、細胞死(アポトーシス)を誘導することなどを明らかとしてきました。さらに、近年、成体の免疫系から攻撃を受ける時にターゲットとなる「抗原」を作り出す遺伝子を発見しました。ターゲットを作り出している遺伝子は新規のものだったので、己の尾を食らうドラゴンの意味をもつギリシャ語のオウロボロス(Ouroboros)とう名前をつけました。この新しい遺伝子を元に、分子生物学的手法を用いて、さらなる研究を進めています。

理学を目指すあなたへ

 発生生物学に興味のあるヒト、免疫学に興味のあるヒト、そしてなによりも自分の疑問点を自分の力で実験することによって明らかにしたいと思っているヒト、理学部で一緒に研究しましょう。