研究紹介

西川研究室(植物学系)

教員

研究分野

植物細胞生物学、分子細胞生物学

研究テーマ

  1. 植物の発生・分化における小胞体品質管理の役割
  2. 植物の有性生殖過程の核膜融合機構の解析

研究概要

 動物や植物の細胞の中には、膜(生体膜)で囲まれたさまざまな区画(オルガネラ)があります。私たちは、その中でも小胞体というオルガネラに着目しています。小胞体は分泌経路の入口として、細胞で合成される全タンパク質の約3分の1にあたる分泌タンパク質や膜タンパク質が合成されます。合成されたタンパク質は正しい構造を形成した後にゴルジ体へと輸送されますが、タンパク質の構造形成には失敗がつきもので、構造が異常なタンパク質が常に生じています。小胞体には、タンパク質の高次構造形成を監視し、生じる異常タンパク質を修復・分解によって処理する、品質管理というしくみが存在します。ここで中心的な役割をはたしているのが分子シャペロンというタンパク質です。私たちは、分子シャペロンの機能に着目した解析で、シロイヌナズナという植物を用いて、植物の発生や環境応答における小胞体品質管理の役割を調べています。私たちは、小胞体の分子シャペロンが、有性生殖の過程で観察される核膜融合に必要であることを見つけました。分子シャペロンが核膜の融合をどのように制御しているかも調べています。

 私たちはこれらの研究を、シロイヌナズナの突然変異株を用いた遺伝学的な解析を用いて調べています。また、GFPなどの蛍光タンパク質を用いて細胞内のタンパク質やオルガネラの動きを直接観察するライブイメージングという方法や、精製したタンパク質の活性を測定する生化学的な方法も用いています。

理学を目指すあなたへ

 複雑な生命現象のしくみを明らかにするためには、生命現象をよく観察して、論理だった解析を進めることが重要です。生物学は暗記科目ではなく、論理的に理解する学問です。