研究紹介

海藻学研究室(上井研究室)

教員

研究分野

藻類学,系統分類学,集団遺伝学

研究テーマ

  1. 海藻における地域集団間の遺伝的分化の解析
  2. 海藻にみられる成熟時期多型の種分化における働きの解明
  3. ハネモ属の分類の再検討
  4. 新潟県沿岸の海藻相の調査

研究概要

 海藻とは、海に生育する肉眼的サイズの真核光合成生物をさします(ただし種子植物は除く)。ノリやコンブ、ワカメなど多くの海藻は食糧としても重要ですが、それ以上に海藻は沿岸生態系の一次生産者として重要な生態的役割を担っています。海藻のもつ多様性は十分に解明されているとはいえないため、私たちの研究室では遺伝的比較に基づいて、海藻のもつ種多様性や遺伝的多様性の把握を目指しており、とくに単一種の内部にみられる遺伝的多様性の解析に力を注いでいます。ここでいう遺伝的比較とは、ゲノム中の特定の遺伝子のDNA塩基配列を決定し、配列そのものを種間あるいは個体間で比較したり、検出される塩基配列の種類と割合を集団(個体群)間で比較することをさします。塩基配列の比較を行うことによって、視覚的な情報にもとづくものとは全く異なる分類体系が示唆されたり、視覚的には違いを認識できないような同種個体の集団をいくつかの小集団に分けることができたりする場合があります。実際、同一種であるにもかかわらず、塩基配列の種類と割合が、生育地域や成熟時期によって大きく異なるような事例が明らかになってきています。これらの事例は、同種の集団間でも、なんらかの要因で個体の移動が妨げられていることを示しています。私たちの研究室では、このような遺伝的比較と、培養実験にもとづく生理的な比較を組み合わせることで、一見すると個体の移動を妨げる「壁」がないような海洋環境において、集団間の遺伝的分化を維持するメカニズムを明らかにしようと試みており、海藻において種がどのように分化していくのか、種分化のプロセスの理解をめざして研究を行っています。

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