研究紹介

飯田研究室

教員

研究分野

水圏生物学

研究テーマ

  1. 通し回遊性魚類の生態とその多様性
  2. 沿岸に出現する仔稚魚の分布と変動
  3. 魚類仔稚魚からみる幼生の分散・滞留機構の解明

研究概要

 海と川を一生の間に行き来する通し回遊魚は、ウナギやサケのように大規模に回遊するものから、アユやハゼのように、狭い範囲を回遊するものまで様々です。魚は水の中に棲んでいるため、塩分の異なる水域をストレスを受けながらも移動します。なぜそのようなことをしているのか、その理由は未だに謎のままです。その理由を知るため、魚類の基礎的な生活史や生態から、回遊現象について考えています。

 成魚が淡水に生息するハゼ亜目魚類を主な対象として、河川や海での生態調査や環境測定、仔稚魚の飼育実験、微量元素分析など様々な手法を用いて研究を行っています。ハゼは小さく地味な魚たちですが、生態はとても多様で、同所的に生息している似たような種でも、一方は回遊し、他方は回遊をやめていたりします。また、島では海に出てあまり遠くへ行ってしまうと簡単には戻ってこられません。そのため、何らかの滞留するためのメカニズムを持っていると予想されます。しかし、小さな魚がどうやって海の中で留まっているのかはよく分かっていません。頭部の内耳にある耳石 (じせき) の微量元素を分析することで、その個体の回遊の履歴を調べたり、仔稚魚を飼育して、発育に伴う生態や行動の違いから、海での生態を推定します。

 通し回遊魚の約半数は、生まれてすぐの生活史の初期を海で過ごします。この間の生残は、受動的な輸送や環境に影響される分散に大きく左右されます。どのような環境でどのような特性をもつ仔稚魚が出現するのか、海水魚と通し回遊魚の仔稚魚の分布を調べることで、明らかにしたいと考えています。

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