研究紹介

メダカ研究室(酒泉研究室)

教員

研究分野

遺伝学 動物発生学 系統分類学 実験動物学

研究テーマ

  1. メダカ類の性決定機構の多様性
  2. メダカの遺伝的多様性
  3. メダカ類の系統と進化
  4. 脊椎動物のモデル生物としての有用メダカ系統の開発

研究概要

 メダカは日本在来の淡水魚で、北海道を除く全国に分布します。メダカの近縁種(メダカ以外のメダカ科の魚)は約30種が知られ、韓国、中国からインドにかけてのアジア地域に分布します。これらの種の多くはメダカと同様流れが少ない淡水域に生息しますが、海水に棲むものもいます。

 メダカはこれまで生物学の多様な分野で実験動物として利用されてきました。スペースシャトル内で産卵して地上に帰還したことでも有名です。広く利用されてきた理由は飼育が簡単なことです。たとえば、小さな水槽で簡単に飼育でき、人工の飼育条件下で一年中、毎日採卵できます。また2-3ヶ月で成熟に達することから遺伝の研究にも適しています。体外で受精し、胚が透明なので、受精、発生過程を顕微鏡下で観察できます。さらに、温帯の魚なので野外でも飼育でき、冬の低温や夏の高温に耐えることもできます。

 會田龍雄は、体色の遺伝様式によってY染色体による遺伝(Y連鎖遺伝)を報告しました(1921)。この時点でメダカが、ヒトと同様XX‐XY型の性決定様式をもつことが判明しました。しかし、Y連鎖遺伝の担い手であるメダカの性染色体については未解明のままでした。私たちは、ミナミメダカとキタノメダカの間の遺伝的差異を利用して、Y染色体上の体色遺伝子座rの近くにメダカの性決定遺伝子Dmyを発見しました。こうして、80年以上前に発見されたY連鎖遺伝の実態が初めて明らかになったのです。

 ところが、近縁種の性決定機構を調べたところ、Dmyはメダカに固有で、進化的に極めて新しい性決定遺伝子であることが分かりました。これは、ダカの近縁種にはDmy以外の性決定遺伝子が存在することを意味します。実際、これまでに11種類の性染色体と3種類の性決定遺伝子が見つかっています。このように、性決定機構の異なる近縁種が多数存在し、遺伝子地図、DNA塩基配列などのゲノム関連情報が整備されたメダカは、脊椎動物の性決定機構を遺伝学的、進化学的、分子生物学的に解析できるたいへんユニークな系であると言えます。

理学を目指すあなたへ

 メダカは日本オリジナルの実験動物です。野生のものは絶滅危惧種に指定されてしまいましたが、野外から実験室内での研究まで、いろいろな分野で活躍しています。この魅力的な生きものを使って一緒に研究してみませんか。