研究紹介

電子物性研究室(根本研究室)

教員

研究分野

物性物理学(実験)

研究テーマ

  1. 強相関電子系
  2. 磁性
  3. 超伝導
  4. 重い電子系
  5. カゴ状化合物
  6. シリコンの原子空孔

研究概要

 新潟大学電子物性研究室では、超音波を用いて弾性定数を精密に測定することにより、物質中の電子や原子がもたらす多彩な物性を調べ、新しい現象の発見やその原理を解明することを目的に研究を行っています。弾性定数は物質の固さを表し、通常は冷やすと固くなる(弾性定数が大きくなる)ことが知られています。しかし、私たちが研究対象としている物質では、冷やすと逆に柔らかくなる現象がしばしば起き、これを弾性定数のソフト化とよびます。電磁気学の言葉を使えば、磁石の性質は電子のもつ微小なN極とS極の対である磁気双極子が起源であり、水晶などが示す圧電効果は電荷のプラスとマイナスの対である電気双極子が起源です。これに対して、弾性定数のソフト化の起源は、電子や原子の量子状態がもつ電気四極子です。電気四極子は超音波に敏感に反応するため、弾性定数を測定することで電気四極子を観測できます。私たちの研究室では、絶対零度に近い極低温(20 mK)まで冷やす希釈冷凍機や、強い磁場(18 T)を発生させる超伝導磁石、高い圧力(2 GPa)発生させる装置をさまざまに組み合わせて、極限環境での超音波物性を詳しく調べることができます。このような施設は世界的に見てもその特徴が際立っており、新潟大学は優れた超音波実験の研究施設となっています。そのため、国内および海外の大学や研究機関との共同研究に加え、企業との産学連携プロジェクトも積極的に推進しています。主に以下のようなテーマについて研究を行っています。

(1) 希土類化合物の四極子秩序
結晶例:CexLa1-xB6など
(2) カゴ状化合物のラットリング
結晶例:Ce3Pd20Ge6など
(3) 重い電子超伝導や鉄系高温超伝導
結晶例:Ba(Fe1-xCox)2As2など
(4) 低次元スピン量子系
結晶例:BaCo2V2O8など
(5) シリコン結晶中の原子空孔
結晶例:シリコンウェハメーカー提供研究向けシリコンウェハ

理学を目指すあなたへ

 基礎研究の成果は、2014年ノーベル物理学賞に輝いた「青色発光ダイオードの発明」のように、人類の英知となるだけでなく社会に貢献する大きな可能性を秘めています。みなさんもチャレンジしてみませんか。