施設概要

沿革

新潟大学理学部附属臨海実験所は、佐渡市達者海岸の一画にあります。日本海側最初の、そして新制大学としても最初の臨海実験所として認可されました。当時の佐渡郡金泉村より、達者カマンド87番地に土地と建物の寄付を受けて1954年3月に発足しました。発足当時の教官定員は助教授1名でしたが、2016年4月現在、教授1名、助教2名、特任助教1名の教員体制となっています。現在の事務系職員は、技術専門職員1名と非常勤職員1名です。当初の建物は、1985年に現在の鉄筋コンクリートの建物に改築されました。また、漁港の整備も進み、以前は転石帯だった場所も大きな防波堤となり、実験所周辺も大きく様変わりしました。

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1979年当時の木造二階建ての実験所。実験所前の岩場にはコンクリートで作られた海水プールがありました。

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1985年に改築された実験所。艇庫も整備されました。

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2013年の実験所。大きな堤防が整備されたため、北西の風が吹き付ける冬でも漁港内は比較的穏やかです。

理念と目標

海洋は生命進化のゆりかごであり、生物の系統進化は海洋生物の歴史であるといえます。海洋生物の多様性と歴史性、さらに普遍性の理解は生物学の教育研究の基盤となるものであり、臨海実験所の設立理念でもあります。また、例えば、オワンクラゲのGFPが医学の分野で利用されたり、藻類や海洋微生物がバイオ燃料のソースとして利用されたりするなど、海洋生物の持つ多様性は様々な分野で注目されています。

臨海実験所のある佐渡島は日本海の外洋に位置する離島であり、日本海岸の海洋環境や生物相を理解する上で最高の教育研究の場を提供しています。臨海実験所は、設置当初より、佐渡沿岸域に生息する海洋生物の多様性と特性の解明を目指すとともに、主に本学理学部の関連学科(生物学科、地質科学科、自然環境科学科など)の学部生ならびに自然科学研究科の大学院生を対象にして、海洋と海洋生物についての高度な知識をもった人材の育成を目標としています。

佐渡島には、新潟大学の森(演習林)、里(朱鷺自然再生学研究センター)、海(臨海実験所)の3つのフィールドワークステーションが揃っています。また、新潟大学と佐渡市の包括連携協定、新潟大学理学部と佐渡市教育委員会との連携協定、さらには海洋基本法の制定に基づく海洋教育の推進などから、これらの3施設と佐渡市の連携を基にして、森里海を結ぶ循環生態系について高度な知識を持つ人材と海洋教育の指導者を育成することも大きな目標としています。

環境:海洋生物の楽園、佐渡の海

佐渡島沿岸域は、黒潮の支流である対馬暖流に洗われているため、佐渡島沿岸域の生物相は本州の太平洋岸黒潮域と似通っています。しかし、日本海は内海的な性格が強く、潮汐差も佐渡島沿岸域で最大30cmと小さいため、潮間帯や干潟が発達しないといった特徴があります。また、表層を流れる対馬暖流の下には、日本海固有水と呼ばれる冷水塊が広がっているのも日本海の特徴の一つです。冬季は北西の季節風をまともに受けるため、海上は 連日時化となり、凪の日はほとんどありません。しかし、冬季の北西の季節風によって海水は冷やされ、暖海性魚類だけでなく、サケやタラなどの寒帯や亜寒帯に生息する魚類の侵入も可能にしています。また、冬季の季節風は、春季の植物プランクトンの大量発生をもたらし、日本海が豊かな漁場として栄えている大きな要因となっています。

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日本近海における海流の分布。佐渡島の沿岸域は対馬暖流に洗われています。

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夏季の日本海の水系模式図。本間1992「新潟県 海の魚類図鑑」新潟日報事業社より作成。日本海は底の深い(最深部は日本海盆北東部の3685 m)たらいのような構造をしています。

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四方を海に囲まれた佐渡島の海岸は、場所によって受ける波や風当たりか大きく異なるため、様々な海岸環境が見られます。冬季の北西の季節風の猛威にさらされる外海府の岩礁海岸(1. 大野亀、2. 尖閣湾)、波穏やかな真野湾の砂浜海岸(3. 沢根)、小木半島の隆起海岸(4. 沢崎)。季節風の影響を弱く受ける小佐渡北部海岸(5. 仏崎)。