助教授： 加藤 朗
TEL：025-262-6182（研究室）
FAX：025-262-6116（事務室）
e-mail ：akato@sc.niigata-u.ac.jp
当研究室は平成１０年９月に活動を開始したばかりの新しい研究室である。マイク
ロボディ（ミクロボディ、ペルオキシソームとも呼ばれる）というオルガネラ（細胞
内小器官）に注目し、植物細胞におけるその役割について解析を行っている。
マイクロボディは、一重膜に覆われた、直径 0.2〜1.5 micrometer 程度のほぼ球
形のオルガネラである。電子顕微鏡でようやく確認できる微小なオルガネラであるが
、真核生物の成長と恒常性の維持に極めて重要な役割を担っている。植物細胞では、
脂肪酸の分解と糖新生に関与するタイプ（グリオキシソームと呼ばれる）と、葉緑体
やミトコンドリアと協同して光呼吸に関与するタイプ（緑葉ペルオキシソームと呼ば
れる）が存在しており、両者は、植物体の生育段階や環境条件によって相互に機能変
換する。これは他の真核生物の場合には見られない、植物マイクロボディの特徴とな
っている。当研究室では、植物細胞におけるマイクロボディの機能変換やマイクロボ
ディ酵素の発現、そしてマイクロボディの形成を制御する機構に興味を持ち、研究を
行っている。
実験材料として用いているのは、カボチャ (Cucurbita sp.) の発芽子葉やシロイ
ヌナズナ (Arabidopsis thaliana) である。現在の主なテーマは、マイクロボディに
局在する低分子量熱ショック蛋白質ホモログの機能解析であり、生化学的（タンパク
質）、分子生物学的（遺伝子）、分子遺伝学的（形質転換植物）方法による解析を行
っている。当面、マイクロボディを中心に研究を進めてゆく予定であるが、液胞や小
胞体といった他の単膜系オルガネラにも視野を広げてゆきたいと考えている。