九州南部・沖縄以南ではサツマイモ(Ipomoea batatas)は普通に花を咲かせるが、本州以北でサツマイモの花を見ることは珍しい。サツマイモは短日植物であるが、鈍感な短日植物で、花成を誘導されるには長期間短日条件下に置かれる必要がある。そのため、本州以北では、秋も深まった頃に十分な短日処理を受けることになるが、その頃には気温が低下するため、花芽は分化しても開花するには至らない。従って、開花を見るのは稀なのである。
サツマイモ属(Ipomoea)とアサガオ属(Pharbitis)は極めて近縁で、最近は、これら2属を分けずに、サツマイモ属に統一する意見が強い。互いに近縁種であるため、サツマイモとアサガオは容易に接木することができる。サツマイモをアサガオに接木して暗処理すると、サツマイモは容易に花を咲かせる。このことは、短日処理を受けたアサガオの葉で花成を誘導する物質が作られ、これが接木を介してサツマイモに輸送されて、サツマイモの花成を誘導することを示唆する。このことは、さらに、サツマイモが鈍感な短日植物であるのは、花成誘導物質に対する感受性が低いためではなく、花成誘導物質の生産量が少ないためであることを示唆している。
サツマイモをアサガオに接木する方法を以下に紹介する。
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