普通のアサガオは細い茎を長く伸ばして他物に巻きついてゆく。ところが、つるにならない、背丈の低い、木立という突然変異体がある(図G111)。木立は植物生理学ではキダチと表記するので、ここでもキダチと書くことにする。キダチは茎伸長だけが抑制された突然変異体で、葉の数や大きさ、花の咲き方などは正常である。茎伸長は植物ホルモンの一種であるジベレリンで促進される。ジベレリンを欠損した突然変異体では、茎が正常に伸長せず、矮性となる。キダチがジベレリン生合成に欠陥を持つ矮性突然変異体であることは、内生ジベレリン含量が野生型より少ないこと、外からジベレリンを与えれば、野生型と同じ背丈に回復することから明らかである。
図G111.アサガオの矮性突然変異体、キダチ。
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