マスタープログラム 2023年度(第5期生)
10月29日(日)、糸魚川ユネスコ世界ジオパークにおいて、「自然と人講座『糸魚川ジオパーク』」を実施しました。
新潟ジュニアドクター育成塾の「自然と人講座」は、新潟の多彩な自然と人に関する最先端研究での体験学習を通して、地域の自然と人に関する興味を高めると共に、自然共生や科学と社会の関わりについて学ぶことを目的としている講座です。今年度は、薬学、建築環境工学、生物学、地学、食品化学、医学の6分野の講座を開講し、松岡篤先生(新潟大学)と茨木洋介先生(フォッサマグナミュージアム)が講師を務める『糸魚川ジオパーク』は、6分野のうちの「地学分野」をカバーする講座になります。
講座当日は、小雨時々曇りと天候に恵まれませんでしたが、糸魚川ユネスコ世界ジオパークの「石」と「地層」をテーマに、須沢海岸、フォッサマグナパーク、フォッサマグナミュージアムの3会場で講座を実施しました。
最初に訪れた須沢海岸は、上流からヒスイが運ばれてくることで有名な姫川の河口付近に位置する、砂利浜の海岸です。須沢海岸では、波浪などによって打ち上げられた30種類以上もの手のひらサイズの岩石標本を採集できることから、糸魚川ユネスコ世界ジオパークの岩石学習に最適なフィールドと言えます。受講生は、時折、波打ち際を越えて打ち寄せる波に注意しながら、流紋岩、石灰岩、曹長岩などの岩石や石英、メノウなどの鉱物を採集することにより、海岸に石が打ち上げられる仕組みと糸魚川の石の多様さについて触れることができました。
須沢海岸での岩石採集を終えた後、姫川支流の根知川沿いにあるフォッサマグナパークを訪れました。ここは、アジア大陸から日本列島が分離した際にできた大地の裂け目である「フォッサマグナ」の西端に位置し、日本列島の土台となる古い地層とフォッサマグナに溜まった新しい地層の境界をを間近に観察することができます。
この境界をつくる断層は「糸魚川-静岡構造線」と呼ばれ、日本列島を地質上、東西に分ける第一級の断層であることから,国の天然記念物に指定されています。
受講生は、根知川沿いに舗装整備された山道を約10分間徒歩でフォッサマグナパークに向かい、露出した断層(断層露頭)を目の当たりにして、大地の変動について触れることができました。
最後に訪問したフォッサマグナミュージアムは、人と大地のかかわりを示す資料を収集・保管・展示し、これらについての調査研究および成果の普及を行うことにより、ジオパーク活動の推進や教育・学術・文化の発展に寄与する、糸魚川市の地域博物館です。
受講生は、ミュージアム1階のホールに集まって、茨木先生による糸魚川ユネスコ世界ジオパークについての講義を受けた後、須沢海岸で採集した岩石の鑑定やミュージアムの常設展示を巡ることで、糸魚川市内で丸一日かけて実施した「自然と人講座『糸魚川ジオパーク』」の学びを締めくくりました。