マスタープログラム 2023年度(第5期生)
11月19日(日)、旭町キャンパス脳研究所総合研究実験棟において、「自然と人講座『脳研究所』」を実施しました。
新潟ジュニアドクター育成塾の「自然と人講座」は、新潟の多彩な自然と人に関する最先端研究での体験学習を通して、地域の自然と人に関する興味を高めると共に、自然共生や科学と社会の関わりについて学ぶことを目的としている講座です。11月19日の「自然と人講座『脳研究所』」では、新潟大学脳研究所の田井中一貴先生(システム脳病態学分野)と、福田七穂先生(動物資源開発研究分野)が講義を行いました。
講義Ⅰ「匂いを感じる神経細胞のしくみ」では、福田先生を講師に、旭町キャンパスにある動物実験施設や、マウスの実験動物として優れた特性(①体が小さい、②ライフサイクルが短く、多産)を紹介した後、小中学生である受講生の理解が進むよう、五感の一つである「嗅覚」や、喉から鼻に抜ける「香り」が味に影響することなどを紹介しつつ、マウスの嗅神経細胞の形成や異常が、匂いを感じるしくみに関係していることを講義しました。
田井中先生による講義Ⅱでは、講義題目を二つ設け、最初に「①脳の中に広がる宇宙を覗いてみよう」と題して、基礎神経科学部門・システム脳病態学分野の田井中研究室で研究が進められている「生物標本の透明化」の原理や技術を紹介した後、次に「②脳と心と私と意識」と題し、「行為者性・所有の感覚」、「ラバーハンド錯覚テスト」、「インタープリター(解釈者)理論」などを交えつつ、私たちの脳には、起こったことの説明や原因を知りたいという強い衝動があることや、「意識」が生まれた進化の歴史について講義をしました。
受講生は、講座を受けるにあたって、事前に取り組んだ講座課題を元に、福田先生からの「もし嗅覚がなくなってしまったら,どのような影響があるのか?嗅覚のない世界が、皆さんの生活や身体に与える影響は?」という問いかけに対し、次々と自分自身の考えを述べ、脳研究所で進められている最先端研究の一端に触れる機会を得ました。