環境生物学分野
生物の多様性を理解し、生物がどのように環境に適応しながら分化し、進化してきたのかを明らかにする研究を行っています。細胞生物学、発生生物学、分類学、生態学を専門とする教員がいて、環境適応に関わる細胞内小器官の相互作用解析、魚類の形態進化やゲノム進化の研究、植物と昆虫の種間相互作用の解析、海産動物の系統分類や形態の解析などを行っています。
環境生物学分野の研究室
無脊椎動物学研究室(宮﨑勝己)研究紹介ページ
主に新潟の日本海沿岸に生息する海産無脊椎動物を対象に、その種類(分類)や形(形態)や生き様(生態・生活史)の多様性について研究を行っています。また各地で漁業被害を与えている二枚貝寄生性の海産節足動物カイヤドリウミグモについて、水産学的防除に繋げるための生活史や寄生生態等の基礎的な生物学的研究も行っています。
生命の多様性は、細胞の多様性であるといえます。そこで、光合成能を有する細胞に興味を持ち、高等植物と単細胞藻類の細胞を材料にオルガネラの形態と機能を解明することによって、その進化の過程や周りの環境から受けるストレスにどのように細胞内オルガネラが協同し合って適応しているのかを明らかにしています。
淡水熱帯魚を使って、脊椎動物の形態進化とゲノム進化に関する研究を行っています。約5万種いる脊椎動物の半分を占める条鰭類のなかで、最も祖先的な系統であり古代魚として扱われる「ポリプテルス」、比較的古い系統であり実験動物として優れている「ゼブラフィッシュ」、最も派生的な系統に含まれ爆発的な種分化をおこしたことで知られている「シクリッド」をそれぞれ繁殖飼育し、発生やゲノムを比較解析することによって、形態進化を研究しています。
野外に生育する植物を対象に、植物の生き方(生活史)や環境への適応を明らかにする研究を行っています。また、植物と昆虫の「食う-食われる」の関係に着目し、植物の被食防衛戦略の多様性や、植物‐昆虫間の相互作用の形成・維持メカニズムや他の生物への影響を調べています。
繁殖分業の進化を遂げた社会性昆虫のシロアリには、強力な長寿化選択の結果、王と女王の寿命が数十年以上、つまり単独性昆虫の数百倍にもなった種が存在します。本研究室は、生殖と寿命の トレードオフさえも打破する彼らの「活動的長寿」を実現する分子基盤の解明に向けた研究を進めており、究極的には生物の寿命や老化の仕組みについて理解することを目指しています。
藻類細胞進化学研究室(墨⾕暢⼦)研究紹介ページ
葉緑体はシアノバクテリアが共⽣して誕⽣したとされていますが、この葉緑体が誕⽣する過程ではいくつかのステップを経たと考えられます。この複数のステップのうち分裂の協調という過程に着⽬し、単細胞藻類の細胞周期や葉緑体分裂の研究を進めています。
進化多様性⽣物学研究室(神林千晶)
⽣物が辿ってきた進化の歴史や多様性の創出機構に興味をもち、野外調査から形態観察、分⼦実験、データ解析まで色々な⼿法を統合したアプローチを進めています。扱うテーマも様々ですが、現在は主に淡⽔棲ヒル類の⾷性進化と系統分類および脊椎動物間で⽣じる遺伝⼦⽔平伝播に関する研究に取り組んでいます。
得られる知識
細胞生物学、発生生物学、遺伝学、分類学、生態学に関する基礎的知識とその調査研究方法、PCR法やDNAシークエンシングなどの種分化や分子系統解析法、電子顕微鏡を用いた細胞内微細構造解析やたんぱく質の局在解析法、各種組織学的手法、測定値データの統計解析法、野外調査法、細胞培養法、無菌操作法など