研究紹介

無脊椎動物学研究室(宮﨑研究室)

教員

研究分野

無脊椎動物学、動物系統分類学、比較形態学

研究テーマ

  1. アサリに寄生し漁業被害を与える海産節足動物カイヤドリウミグモの基礎生物学
  2. クマムシなどのメイオベントス(小型底生生物)性無脊椎動物の系統分類学
  3. ウミグモ類を中心とした節足動物生殖器官系・循環器官系の比較形態学
  4. その他無脊椎動物の多様性に関わる研究全般

研究概要

 これまで100万種以上が発見され学名が記載されている動物の仲間ですが、この地球上にはその10~100倍以上の未知の種が生息していると考えられています。その動物の多様性の大部分を担う(種数にして動物全体の95%以上)のが、いわゆる「無脊椎動物」の仲間たちです。

 本研究室では、これまで主に南日本の太平洋沿岸をフィールドとして、そこに生息する海産無脊椎動物の研究を行ってきました。研究材料として最もよく用いているのが、海産節足動物の一群である「ウミグモ類」です。この類に関する研究は生殖器官系の比較形態から始まり、分類・系統・発生・生活史・生態等多岐に渡っています。特に近年「カイヤドリウミグモ」という種がアサリ等の有用二枚貝類に内部寄生し漁業被害を与えるという事例が日本各地で発生し、水産学的防除に繋げることを目的とした基礎的研究(系統分類・後胚発生・生活史・寄生生態等)を進めています。

 今後力を入れていきたいのが、日本海の無脊椎動物の多様性に関する研究です。日本近海の生物相は世界でも比較的研究が進んでいる海域ですが、日本海側のそれは太平洋側に比べると研究が十分でない動物群が多く、特に無脊椎動物の多様性に関しては未知の世界といえるでしょう。新潟県は日本海に長い海岸線を持つと共に、佐渡島・粟島という生物地理学的に興味深い離島を有しています。これらの沿岸域をフィールドとし、時には船舶も利用した採集を行い、これまで研究がほとんどされていない海産無脊椎動物群の生物相を明らかにしていきます。その過程で遭遇した興味深い生物種や生物現象に対しては更に深く追及を進め、その謎の解明を目指します。

理学を目指すあなたへ

 現在世界中で年間1万5千種以上の生物が新種記載されています。しかしこのペースで数千万種ともいわれる地球の全生物に名前を付け終わるには、途方もない年月が必要となります。しかも生物多様性の研究は、名前を付けたらそれでお終いではありません。生物多様性学には広大な未踏の荒野が広がっているのです。この荒野を切り開く、勇気と好奇心を持った皆さんをお待ちしています。