理学部コロキウム

 理学部の先生方がどのような研究を行い、どのような成果をあげられているかをお互いに知りあい交流するために、2002年度から理学部コロキウムを開催しています。教職員、学部生、院生のみなさん、是非参加くださるようご案内いたします。学外の方も歓迎です。

第151回 理学部コロキウム

凸性の概念は線形性と非線形性の橋渡し
数学プログラム 田中 環 教授
日時:
2025年11月26日(水)16:30 ~ 17:40
場所:
理学部B棟3階303講義室

講演概要

 「凸集合」を表す図形として,三角形を始めとする凸多角形や円が作る領域(周とその内部)等があり,また「凸結合」という概念は高等学校の数学では「2点を結ぶ線分」あるいは「2つのベクトルの内分」として登場し,凸集合の要素の凸結合もその集合に含まれるという事実は広く認識されています。一方,「凸関数」は小学校で比例・反比例のグラフとして登場し,中学校や高等学校の数学では,1次関数や2次関数としてそれらの性質を学習します。特に,微分可能な凸関数の導関数が単調非減少であることやグラフの接線が一つに定まり,その傾きが0となる点で極値をとることも学びます。凸性に関する研究は,歴史をさかのぼると「非負条件をもつ変数に対する連立1次方程式」の研究やそれらを制約条件に持つ数理計画問題の研究にたどり着きます。凸集合は位相的にも安定していて,元の集合が凸集合ならその境界を含めても除外しても凸集合となります。このような性質を持つ凸性は線形性と非線形性をもつ問題の間の橋渡しをしてくれることが分かっています。本講演では,直感的に分かりやすい解釈を交えながら凸性の世界へいざなうことにしましょう。

コロキウム問い合わせ先: 長束 俊治
natsuka [at] bio.sc.niigata-u.ac.jp
※上記の [at] を @ に置き換えてください。