学部長メッセージ

高澤 栄一
理学は、自然界の構造や仕組みを解き明かす学問です。その根底には、純粋な好奇心と探究心、そして未知の現象を解明しようとする姿勢が求められます。しかし、理学の学びは単なる知識の蓄積にとどまらず、それを応用して人類や社会に貢献することも重要な目的の一つです。理学を学ぶことを社会と結びつけ、持続可能な未来に貢献する視点を持つことが求められます。つまり、理学を学ぶ意義は「真理の探究」と「社会への貢献」にあると言えます。
理学を深く理解するには、数学、物理学、化学、生物学、地学などの基礎知識や方法論をしっかり身につけることが不可欠です。各分野には長年培われてきた理論と実験手法があり、それらを体系的に学ぶことで、科学的思考力や問題解決能力が養われます。そのときに、単に知識を暗記するのではなく、疑問を持ち、自分なりに考え、検証することを心がけることが大切です。
新潟大学理学部では、自然系共通専門基礎科目、共通ベーシック科目、共通コア科目、各プログラムの専門科目の体系的な履修を通して、主体的で創造的な探究心を持つ基礎科学人材の育成を目指す教育システムを提供しています。講義、実習・実験やフィールドワークを通じて、データを基に、仮説を立て、検証し、新たな知を見出す姿勢を培います。
一方、今日の問題は複雑で、一つの分野の知識だけでは解決できないことも多々あります。例えば、気候変動や環境問題、災害復興などの問題は、複数の分野の知識を組み合わせることで初めて深く理解し、解決策を見出すことが可能になります。すなわち、学際的な視野のもと、理学の学びを社会と結びつけ、持続可能な未来に貢献する視点を持つことが求められます。
新潟大学理学部は、理学科の下、数学、物理学、化学、生物学、地質科学、自然環境科学、フィールド科学人材育成の7つの学位プログラムを設け、日本海側最大規模の教員数と学生定員数を誇ります。農学部や佐渡自然共生科学センター臨海実験所、災害・復興科学研究所とも連携し、学祭的かつ積極的に現代の複雑な課題に取り組んでいます。
卒業生の多くは大学院に進学し、その後は理工系企業の技術者や中学・高校の理数科教員、大学・研究機関の研究者・教員として幅広く活躍しています。理学部と大学院での学びは、あらゆる科学の基盤となる知識と広い応用力を身につけることができます。さらに、キャリア教育にも力を入れており、豊富な実例を通して、理学の専門性が社会でどのように活かされるかを学びます。
理学に興味を持つ皆さんには、新潟大学理学部の多彩な魅力の中から自分に合った進路を見つけ、私たちと共にさらなる向上を目指して学んでいただきたいと思います。
新潟大学理学部長
高澤 栄一