学部長メッセージ

新潟大学理学部長 大鳥 範和

 理学部での教育研究の本分は真理の探究にあります。真理の探究に必要な学修は、先人の築いた到達点を理解し、その先を切り拓くための方法を習得することです。先人が切り拓いた道をそのまま辿ることは容易なことではありませんが、理学部の各分野のカリキュラムは十分に練られたものであり、主体的に取り組めば、確実な理解とともに効率的に最先端まで到達できるよう工夫されています。

 理学部での学修は、各分野(discipline)で講義や実習科目として高度に体系化されています。体系的に修得された知識は、新たな課題に挑むためのアイデア(知恵)の源泉となります。各分野で科学が発展する一方で、新たな課題は複合的になり、分野間の横断的(interdisciplinary)な知恵が求められるようになってきました。SDGs への課題群はその包括的事例と言えるでしょう。

 「個人の向上なくして、よりよい世界を築くことは望めない。そのために、わたしたちひとりひとりは各自の向上をめざして勉強すると同時に、全人類の共同責任を分担しなければならない。わたしたちの責務は、自分がもっとも役に立てると思う相手を助けることにほかならない。」 [*]

 これはマリー・キュリーが大学(理学部)に入学した頃に抱いた理想を記したものです。学問の自由の下、真理の探究は、学術的意義や価値が認められる限り、基本的に個人の純粋な興味や発想に基づいて行われて然るべきですが、一方で社会とのかかわりを考えずにはいられません。それは時代の要請というより、彼女の言う「全人類の共同責任の分担」という根源的かつ普遍的な責務から発するものでしょう。

 新潟大学理学部は、自然環境科学やフィールド科学を中心に農学部、佐渡自然共生科学センター臨海実験所、および災害・復興科学研究所とも連携し、今日的な複合的課題に横断的かつ積極的に取り組んでいます。一方、各 discipline の継承と発展なくして横断的な課題の解決は望めません。理学部は理学科の下、7つの主専攻プログラム(数学,物理学,化学,生物学,地質科学,自然環境科学,フィールド人材育成)で構成され,日本海側最大規模の教員および学生定員数を擁します。

 卒業生は過半数が大学院に進学し、卒業・修了生は,理工系企業の技術者,高校・中学の理科・数学の教師,さらには大学等の研究機関の研究者・教員として活躍しています。理学部とその大学院での学修は、すべての科学の基盤であり、広い応用性を備えています。加えてキャリア教育を重視し、理学の専門性がどのように社会で活かされているか、豊富な実例をもって学びます。

 理学に関心を持つ若い皆さんにぜひ、新潟大学理学部のもつ多彩な魅力の中から自分に合った進路を見つけて頂き、私たちと一緒にさらなる向上をめざして学ばれるようご案内します。

新潟大学理学部長
大鳥 範和

[*] ナオミ・パサコフ著『マリー・キュリー 新しい自然の力の発見』、西田美緒子訳、大月書店、2007年