地質科学プログラム

Geology Program

地質科学のすすめ

地質学は、野山を歩き回って岩石をみつけるところから始まります。
野外に行ってみましょう。森の中でみつけた岩石には何が秘められているでしょうか?

地質学とは?

地球に関する科学のうち、岩石を対象とする分野です。岩石は、地下深部のマグマ活動や変成作用、地球表層の水や空気の流れ、そこに生息する生物の進化・多様性、そして断層や褶曲などの地殻変動の跡、など多様な歴史を記録する「過去からの手紙」です。

お勧めポイントは?

岩石を解読する知恵の結晶、そして新しい冒険の舞台が、地質学です。何も知らなければただの「石」や「がけ」が、実は地球の歴史を語る宝庫であると知る驚きが、地質学の大きな魅力です。高校で地学を履修している必要はまったくありません。岩石鉱物・化石、地震など、あるいは山・自然への興味が、地質学への良い入り口です。

研究の特徴は?

鉱物・岩石・地層・化石・断層など、「石」に記録されたあらゆることを対象に、活発な研究に取り組んでいます。卒業生は、資源探査・開発、土木・建設工事の設計、地震・火山・地滑りなど自然災害対策の分野の研究者・専門技術者として活躍しています。

教育の特徴は?

野外実習を重視し、少人数教育できめの細かい指導のもと、地質調査能力の高い人材の育成を特色とします。専門力プログラムでは、高度な段階まで野外実習を行い、研究者・技術者としての基礎力を高めます。総合力プログラムでは、他学位プログラム科目を積極的に学び、学際的な視点からの課題解決能力を伸ばしていきます。

↑岩石を薄く切断して透き通るまで研磨したものを顕微鏡で観察すると、岩石を構成する鉱物の美しい配列が見えてきます。これはやはり日本海形成時に起こった火山活動を記録する安山岩の様子です(写真の横幅約1㎜)。

授業紹介

岩石学実験Ⅰ

岩石を鉱物レベルで調べるときの基本的な手法が、偏光顕微鏡を使った観察・測定です。実習では1人1台の顕微鏡を使って、基礎の原理から自分で採取した岩石の鉱物の同定まで、じっくり学習していきます。

野外実習A

ハイレベルな地質調査技術の習得を目的とした3年次の実習科目です。安全面に配慮した調査計画を立案し、地層からデータを取得する地質科学の実践力を鍛えます。約3×4kmの範囲を1人で調査し、地層の分布を示す地質図を描いてプレゼンテーションをします。総合力プログラムでは選択科目です。

ほかにも魅力的な授業科目がたくさんあります!

地学基礎A、地学基礎B、地学基礎C、地学基礎実習a、地学基礎実習b、地質学入門a、地質学入門b、構造地質学入門、地層・古生物学入門、鉱物・岩石学入門、環境地質学入門、地学英語、地質調査法Ⅰ、地質調査法Ⅱ、地質調査法実習Ⅰ、地質調査法実習Ⅱ、地質調査法実習Ⅲ、岩石学A、岩石学実験Ⅰ、テクトニクス、古生物学A、地層学A、野外実習A、課題研究、セミナー

2つの学習方法(専門力プログラムと総合力プログラム)があります

専門力プログラムと技術士資格

地質科学専門力プログラムでは、高度な野外調査の方法を習得するとともに、地質科学の各分野を総合的かつ体系的に学びます。また、所定の単位を修得すれば、下の表に示す「育成する技術者像」および「学習教育・到達目標」を掲げてJABEE(日本技術者教育認定機構)の認定を受けた修了生となり、卒業時に「技術士補」の国家資格が得られます。

育成しようとする技術者像

綿密な踏査や観察に基づいて、地層・岩石の歴史性の認識や地下構造の三次元的な把握ができ、地圏の土木開発・資源開発・防災・環境保全等の分野で、計画性・協調性・実行力・倫理観をもって活躍する地質技術者。

学習・教育到達目標
  1. 良識ある技術者に必要な人文社会科学などの基礎および語学・コミュニケーション能力を身につける。
  2. 岩石・鉱物・地層の物質的性質について理解し、説明できる。
  3. 岩石・鉱物・地層の歴史的性質について理解し、説明できる。
  4. デザイン能力の一環をなす、社会の要請への地質科学の対応について理解し、説明できるとともに、技術者倫理を身につける。
  5. 野外の地質に関するデータ取得とまとめができる。
  6. 野外の産状に密着した地質学的課題を解決する計画を立案し、複数の解決策や与えられた制約を考慮したうえで計画的・自主的に情報を取得し、チームでの議論を経て、総合的に解析できる。これらを通じ、デザイン能力を身につける。
  7. 収集した情報を整理・再構成して自ら表現できる。
  8. 広範な問題解決のために、自然科学の多様な分野の基礎を身につけるとともに、地質科学の先端のトピックを理解し、説明できる。

総合力プログラム

地質科学総合力プログラムでは、他の学位プログラム科目を数多く取り入れた学習を行うことで、地質学にプラスαの複眼的な視野を習得します。例えば、生物学分野や自然環境科学分野などの科目を並行して学び、地質学と生物学の両方の知識を環境問題と結び付けて活用するような、応用力を身につけます。これにより、地質学以外の素養も重視するような環境アセスメント業などへの進路が期待できます。また、所定の単位を修得すれば、専門力プログラムと同様に、卒業時に技術士補の資格を得ることもできます。

研究の紹介

古生物の生態・進化・多様性に迫る

椎野勇太 准教授

 地層に保存された生物の痕跡「化石」から、古生物の体づくり、適応、ふるまい、生活様式の解明に取り組んでいます。特に、古生代(約5.4~2.5億年前の期間)と呼ばれる時代に生きていた奇妙な生物たちを題材とし、生物大進化の原動力や大量絶滅の全容を明らかにすることが目標です。

 化石の中でも、腕足動物と呼ばれる二枚貝のような動物や、ダンゴムシのような姿をした三葉虫などの無脊椎動物を中心に研究しています。どちらの生物も、現存する生物にはない不思議な形をしているので、きっとユニークな生存戦略が秘められているのだろうと想像できます。研究室では、化石に残らない軟体部の復元や摂食方法の推定などをテーマに、形態解析や機能解析を進めています。化石といっても元々は生物だったので、今いる生物を使った比較研究も行います。

 もの言わぬ化石となった生物は、どこで生きていたのでしょうか?古生物の生息環境を理解するためには、当時の地層をしっかり調査しないといけません。そこで、地質科学に基づく野外調査を通して地層の形成史を解読し、古生物の住んでいた環境復元にも取り組んでいます。特に、地球生命史上、最大の絶滅イベントが起きたペルム紀(約2.5億年前)と、最初の絶滅イベントがあったオルドビス紀(約4.3億年前)の地層を題材に、いつ、どこで、どんな生物が存在していたのか、を明らかにする野外調査研究を行っています。

研究者リスト

分野等 スタッフ
岩石・鉱物学

小西博巳

研究者データ

サティッシュ クマール

研究者データ

研究紹介

高橋俊郎

研究者データ

構造地質学
堆積・古生物学
災害・環境地質学

卜部厚志

研究者データ

片岡香子

研究者データ

渡部直喜

研究者データ

就職状況

進路として、大学院進学、地質コンサルタント業、地質調査業、建設コンサルタント業、資源・素材系企業(石油・セメント・金属等)、土木建設業、環境アセスメント業、ジオパークなどに関わる公共機関・博物館などの専門技術職のほか、幅広い分野の民間企業や公務員・教員・研究者などに実績があります。

就職先の例(順不同)

【資源・素材】三菱商事石油開発㈱、出光興産㈱、石油資源開発㈱、太平洋セメント㈱、住友大阪セメント㈱、三菱マテリアルテクノ㈱、クニミネ工業㈱
【ゼネコン】日特建設㈱
【建設コンサルタント】応用地質㈱、川崎地質㈱、㈱日さく、八千代エンジニアリング㈱、㈱キタック、㈱興和、基礎地盤コンサルタンツ㈱、サンコーコンサルタント㈱