地層学(層序学,堆積地質学),渦鞭毛藻化石/花粉化石,石油地質学,新生代
地層は,みなさんの生活する場所,あるいは旅行で通過する場所のすぐ近くで,案外簡単に見ることができます。ほとんどの人は,それを地層だと意識しないで見ているでしょう(「ぁぁ崖だな…」と)。そして,「地層はどのようにできるのか?」「地層をどのように見れば,昔のことを知る手がかりになるのか?」について,少しでも専門的な学習をすれば,それが「ただの崖」ではなく,「過去の地球の歴史をこれでもか!とたくさん記録しているデータの宝庫」であると,わかってきます。この魔法のような知識とそれを使った謎解き,それが地層学(層序学,堆積地質学)です。私も,地層を観察するたびに新しいことに気づき,新しい疑問がわき,繰り返し考えることの楽しさをいつも味わっています。
当研究室の研究対象の多くは,「新生代」という,地球の歴史の比較的新しい時代(6,500万年前から現在まで)にできた地層です。この時期,地球は変動に次ぐ変動を経験しました。南極大陸が分裂し,ヒマラヤ山脈が形成され,日本の近くでは,「日本海」がまったくゼロから新しく誕生しました。そのすべては地層に刻まれています(上の写真がその一例)。
地層そのもののほか,地層に含まれる渦鞭毛藻(うずべんもうそう)や花粉といった,植物起源の微化石(スーパーかわいい)も研究しています。
理系に限らず,大学で身に付けるべきことは,2つしかありません。それは,「全体を見渡す視野を手に入れる」ことと,「とても複雑なことについて他人と意見交換できるようになること」です。これが,複雑きわまりない自然・社会を,人間がハンドリング可能な「パーツ」に分解し,問題を見極め,対処するための,根本的な能力です。これを大学で磨き,それを武器に社会で活躍しようぜ。