研究紹介

進化古生物学研究室(椎野勇太研究室)

教員

研究分野

古生物学,機能形態学,バイオメカニクス,進化形態学

研究テーマ

  1. 絶滅生物の形態,機能,古生態
  2. 腕足動物の進化形態学
  3. 遊泳性三葉虫のバイオメカニクス
  4. 古生物の適応能力からみる多様性,絶滅イベント

研究概要

 太古の生物は、一目で「今の生き物ではない」と感じるほど不思議な「かたち」をしています。そこには、現存する生物と違った体づくりや生き方が想像されるでしょう。私の研究室では、絶滅した生物の形に「生きる」ための特性を考える研究テーマに取り組んでいます。特に、約5.4~2.5億年前の古生代と呼ばれる時代に大繁栄していた海の無脊椎動物を題材とし、どのような理由で形の進化が起こったのか理解することを目指しています。

 生物の形と生き方について、少し噛み砕いた説明をしてみましょう。例えば私たちは、直立姿勢です。これは、重力に対して適切な形となっているからで、陸上生物の体づくりを支配する大きな理由といえます。ところが、水中に適応した魚は、私たちと同じ脊椎動物であるにもかかわらず、ずいぶん形が違っています。これは、陸上で感じる重力の代わりに、水中では水の粘り気に対応するような体づくりとなっているからです。このような「形の制約」を考えた場合、絶滅した生物の奇妙な形には、どのような秘密が隠されていたのでしょうか?そのような生物の形は、どのように進化し、なぜ絶滅してしまったのでしょうか?

 古生物学が扱う化石には、骨や殻など生物の硬い部分ばかりが残ります。肉や内臓などの柔らかい部分は残らないので、今の生物学と同じ方法で生き方を探ることはできません。また、多くの化石は地層に埋まっています。そのため、化石研究の第一歩は、地質を理解することから始まります。化石を扱う学問は、様々な分野の知識とそれらをつなげて考える思考を必要とします。

理学を目指すあなたへ

 理系を志す者にとって特に大切なことは、何かが「できる」ことよりも「わかる」ことです。学んできた多様な知識とともに、世に氾濫する膨大な情報を少しでも関連付けて考え、生きた思考を養うように努めてほしいと願っています。研究は楽しいです。