研究紹介

田﨑研究室(生化学・分子生物学系)

教員

研究分野

分子生物学、機能生物化学、昆虫科学

研究テーマ

  1. シロアリの王と女王に特異な生体分子の機能解析
  2. 長寿生物のエネルギー代謝システムに関する研究

研究概要

 どうすれば長寿を実現できるだろうか?このシンプルな問いは、どの時代においても人々に強い関心を抱かせてきました。じつは、すでに世の中には圧倒的な長寿を実現する生物が存在しています。繁殖分業の進化を遂げた社会性昆虫のシロアリには、強力な⻑寿化選択の結果、王と女王の寿命が数十年以上、つまり単独性昆虫の数百倍にもなった種が存在します。シロアリの王と女王は、生物一般に観察される繁殖と寿命のトレードオフを打破しており、巣の中で「最も繁殖活動を行う個体でありながら、最も⻑生き」です。本研究室では、他に類を見ない彼らの「活動的長寿」を実現する分子基盤の解明に向けた研究を進めており、究極的には生物の寿命や老化の仕組みについて理解することを目指しています。

 具体的には、生物の長寿化をもたらす生体分子およびその機能を特定するため、シロアリの王と女王を材料にモデル生物であるキイロショウジョウバエや培養細胞などの評価系を用いた分子機能解析をおこなっています。また、エネルギー代謝は生物寿命と密接に関わっていると考えられています。我々は、シロアリの真社会性に着目し、彼らのエネルギー代謝システムを集団レベル・個体レベルで解析することで、生物に長寿化をもたらす代謝システムの実態解明に取り組んでいます。

 シロアリは、解明されていない謎の多い生物です。本研究室では、上記に限らず彼らの様々な生物学的事象についても研究しています。

理学を目指すあなたへ

 学問は自由です。“0”から“1”を生み出す基礎研究や“1”から“100”を生み出す応用研究など、どの学問分野も重要です。しかし、「なぜリンゴは木から地面へ落ちるのか?」といった「人の根幹部分から生まれる問い」は、自然科学(理学)に通じています。新しい知を創造するという我々人にしか成し得ない学問の喜びを大学で、そして研究室で共に楽しみましょう。