研究紹介

高圧物性グループ

教員

研究分野

物性物理学(実験)

研究テーマ

  1. 高圧下における高温超伝導体や金属間化合物の物性研究
  2. 圧力下で生じる構造相転移にともなう物性の変化、圧力誘起超伝導の機構解明
  3. 高圧下での結晶構造の解析
  4. 高圧発生装置の開発

研究概要

 高圧力下に置かれた物質は新しい性質をしめします。まるで新物質が合成されたかのように、常圧下とは全く違う振る舞いを見せます。

 超伝導もその一つです。常圧では見ることができない超伝導が高圧力下で初めて出現する物質は数多くあります。現在の超伝導転移温度の最高記録は高圧力下で発見されています。新しい超伝導物質、転移温度の記録の先駆けにはいつも圧力下の物性研究があります。

 1911年にK・オンネスが世界で初めて超伝導現象を発見してから約100年、PW・ブリッジマンが高圧力下の物性研究を確立してから約70年、二人の偉大な物性研究者の業績が結びつき、現代の超伝導研究を推進しています。

 超伝導リニアモータカーやMRI検査装置など、超伝導体は少しだけ身近にやってきています。そして新しい超伝導体のグループである高温超伝導体の発見からは約30年が経ちました。それらも少しづつ私たちの身の回りにやってくるでしょう。

 私たちが理学部で目指しているのは次世代を担えるさらに新しい超伝導体の発見であり、高圧力下の研究が大きなきっかけをもたらす可能性は大いにあります。新しい超伝導体の発見のためには、今ある物質の超伝導の仕組みをより詳しく知る事が重要です。私たちはそのために、
(1)結晶構造の解析を通じて超伝導現象誘起の仕組みを明らかにする、
(2)10万気圧級の圧力を物質に加えることによって結晶構造を変化させて超伝導を誘起させる、
ことを目指しています。

理学を目指すあなたへ

 物理学は目の前で起こる現象を見つめるところから始まります。物性は物質の中の原子や電子の振る舞いによって生じますが、その姿を直接見ることはできません。そして私たちが扱う圧力もまた非常に小さな空間で発生させるため、圧力が物質を変化させる効果を肉眼で見ることは難しいでしょう。しかし超伝導という現象は、目に見えないものたちの振る舞いをはっきりと見せてくれます。

 新しい現象への興味、目に見えないものが姿を表す物質の性質への探究心、小指に乗る小さな試料の中に様々な機構が働いていることに思いを馳せられる想像力をもった人に取り組んでもらいたいテーマです。