新潟大学教育研究特別シンポジウム
高校生のためのシンポジウム

数学の最先端 ~双有理幾何学の世界~

フィールズ賞(数学のノーベル賞)受賞の森重文博士をお招きし「高校生のためのシンポジウム」を開催しました

 1990年に数学のノーベル賞ともいわれるフィールズ賞を受賞し,数学の代数幾何学の分野とくに双有理幾何学の研究で世界をリードし続けている森重文博士(京都大学高等研究院院長/特別教授)をお招きし,5月19日(日)に新潟大学教育研究特別シンポジウムとして高校生のためのシンポジウム「数学の最先端~双有理幾何学の世界~」を開催しました。

 本シンポジウムは,主に県内の高校生に世界トップレベルの研究を直接体感してもらい,科学への関心を高めてもらうことを目的に理学部が企画したもので,高校生182名を含む約420人が会場である朱鷺メッセの国際会議場に足を運びました。

 当日は,森重文博士をお呼び頂いた星明考先生(理学部数学プログラム准教授)自ら司会を担当され,前野貢理学部長の開会の挨拶の後,本学で30年以上教育と研究に尽力された吉原久夫博士(新潟大学名誉教授)によるフィールズ賞と数学IIIに関する講演がありました。吉原博士は,森博士とともに京都大学の永田雅宜博士から代数幾何学の教えを受けた,森博士の先輩にあたるそうです。

 昨年のICM2018におけるフィールズ賞授賞式の実際の映像(森博士は開催当時,主催する国際数学連合の総裁をつとめられていました)が紹介された後,森重文博士の講演が行われました。前半は,数学者になるまでのエピソードを披露してくださり,「いつも順調だったわけではないが,高校時代に数学という目標を見つけたので,乗り越えて来られた」「自分の欠点が,実は個性だとわかった」「禍福はあざなえる縄の如し」「ピンチこそチャンス」「一番自分でよい結果と思う結果は実は間違いから出てきた」などの森博士の言葉が,とても印象的でした。後半は,双有理幾何学の世界と極小モデルプログラムについて,2次元を3次元にしたときに生じる困難についての解説がありました。目には見えない(絵には描けない)世界ではあるが,確かにそこに存在する,数学の世界の迫力が感じられる講演でした。

 講演後,主催者を代表して高橋姿学長から,当日参加の高校生たちへ輝ける未来への激励のメッセージが送られました。休憩時間には,会場前のホワイエにて理学部7プログラムを紹介する展示が行われました。

 後半はパネルディスカッションがテーマ「数学者ってどんな感じ?」司会星明考先生,パネリスト森重文博士,吉原久夫博士に小島秀雄先生(理学部数学プログラム教授)が加わって行われました。

 その後の質問コーナーでは直接,森重文博士に質問できる機会とあって,会場では高校生をはじめとした多くの方々からの挙手が時間いっぱいまで止みませんでした。最後に,淺賀岳彦理学部副学部長から閉会の挨拶がありました。

 運よく質問できた方々には,森重文博士から直接握手と共にサイン入り著書がプレゼントされました。運よく著書を手にした皆様,本当におめでとうございました。

 本シンポジウムはすでに来年の計画を進行しております。ぜひ,ご期待ください。

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