研究紹介

橋詰研究室

教員

研究分野

代数幾何学

研究テーマ

双有理幾何学、極小モデル理論

研究概要

 代数幾何学において、代数多様体と呼ばれる図形の分類は大きな目標の1つですが、代数多様体の数は膨大であり、それを1つ1つ調べるのは現実的ではありません。そこで、2つの代数多様体が十分大きな領域で同じものであるなら同一視してしまい、大ざっぱに分類してしまおう、というのが双有理幾何学の考え方です。ただし、この方針で分類をしようとすると、同じグループの代数多様体に共通な不変量(双有理不変量)をうまく見つけ出し、さらに双有理不変量が計算できるような良い性質を持った代数多様体を見つけなければいけません。この「良い性質を持った代数多様体」を見つけるための理論が、本研究室の研究テーマである極小モデル理論です。

 極小モデル理論は「理論」とついていますが完成されている訳ではなく、実際は4次元以上の多くの代数多様体に対しては確立されていません。また、極小モデル理論(や双有理幾何学)においては、特異点と呼ばれる幾何学的に悪い点を頻繁に扱わなければなりません。現在の双有理幾何学では比較的扱いやすい特異点を持つ多様体の研究が盛んですが、それらの多様体に限定しても極小モデル理論が確立されている代数多様体たちはごく僅かです。本研究室では、現在よく扱われている代数多様体たちについて極小モデル理論の完成を目指しています。

 また、極小モデル理論が応用できる対象を拡張することも目指しています。悪い特異点を持つ代数多様体にも極小モデル理論が拡張できるか、さらに代数多様体に限らず解析空間に対しても極小モデル理論が成立するか、ということについても研究しています。

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