研究紹介

星研究室

教員

研究分野

代数学、数論、代数幾何学

研究テーマ

  1. 不変体の有理性問題
  2. 構成的ガロア逆問題とその応用
  3. Thue方程式族の解の決定について

研究概要

 「真に驚嘆すべき証明を発見したが、この余白はそれを書くには狭すぎる。」 ピエール・ド・フェルマー(1607--1665)がそう書き残したことで有名なフェルマーの最終定理は、次のように述べられます:3以上の自然数 $n$ に対して、$x^n+y^n=z^n$ を満たす整数解 $(x,y,z)$ は、自明な $xyz=0$ を除いて存在しない。このフェルマーの最終定理は、360年という時を経て、1994年にプリンストン大学のアンドリュー・ワイルズによって、現代の数論である岩澤理論、ガロア表現、楕円曲線、保型形式の理論などを用いて、(一部、リチャード・テイラーの協力もあり)谷山-志村予想(の半安定な場合)を解決することによって証明されました。

 数論は、代数的整数論、解析的整数論、ゼータ関数、楕円曲線や保型形式、数論幾何学や代数幾何学など様々な分野が関連しながら発展を続けており、古くは高木貞治による類体論、岩澤健吉による岩澤理論など、これまでそして現在も日本人数学者の貢献も多い分野です。代数の枠組みに入っていると思われがちですが、大学で学ぶ線形代数、微分積分、集合と位相などはもちろんのこと、代数学、幾何学、解析学などの知識を総動員する必要があり、さらにコンピュータによる計算が有用な場合もあります。

 現在、世界中の大学・研究機関で日々研究が進められており、有名な未解決問題も多い分野です。例えば、素数の分布の様子に関連し、リーマンゼータ関数 $\zeta(s)$ の零点の位置を記したリーマン予想、楕円曲線 $E$ 上の有理点の多さとその $L$ 関数 $L(E,s)$ の $s=1$ における零点の位数との関係を述べたBSD予想などは、米国のクレイ数学研究所によってミレニアム賞問題として100万ドルの賞金がかけられています。そのほか、話題になったabc予想や双子素数予想などもあります。

 さらに興味がある場合は、理学部数学科のホームページや、そこにある学生向け研究紹介も見て下さい:http://mathweb.sc.niigata-u.ac.jp/pages/staff_research_introduce/Akinari_Hoshi.pdf

理学を目指すあなたへ

 数学の定理や証明に出会ったら、紙とペンを使って、なぜ成り立つのかを長い間よく考えてみて下さい。そこにある法則や原理が浮き出て見えてくることがあるでしょう。