研究紹介
環境分析化学研究室(松岡研究室)
教員
研究分野
分析化学
研究テーマ
- 高感度な現場分析法開発
- 磯焼けの原因究明に関する研究
- 天然水中に存在する超微量金属元素のスペシエーション
- 固相流れ分析法の開発と超微量成分分析への応用
研究概要
さまざまなサンプルの中にどのような成分がどの程度の濃度で存在しているのか、またどのような状態で存在しているのかを、化学的に調べるための原理や方法を研究する学問分野が分析化学です。その中でも、天然水の中に溶けている超微量金属元素(25 mプールに小さじ1杯~耳かき1杯程度の成分を溶かした濃度に相当)の簡単かつ正確な分離・分析法開発が私たちの研究の中心になります。この目的のために私たちが用いているのが、イオン交換体や架橋デキストランと呼ばれる固体(固相)です。この固相の中では、溶液の中では起こりにくい化学反応が容易に進行することが知られています。これらの固相を濃縮・定量・特殊な化学反応場として用いる、正確さに優れた溶存超微量成分の酸化状態別分析法の開発を行っています。開発した分析法を実際の天然水分析に適用することで、天然水に溶けている成分の濃度や化学状態が、自然の仕組みの中でどのように変化していったのかを知ることもできます。近年ではこの方法を用いて、海藻が石灰藻にとって代わり藻場から消失する「磯焼け」と呼ばれる現象と海水中の溶存鉄化学種濃度との関連についての研究も行っています。
理学を目指すあなたへ
私たちは、ただでさえ測定の困難な超微量金属元素の化学状態別濃度を、試料採取地点でも測定できるほど簡便な装置や操作で行える分析法の開発も目指しています。濃度だけでなく化学状態まで正確に調べるための分析法開発にはかなりの困難が伴いますが、ぜひ一緒にチャレンジしてみましょう。