研究紹介

分子化学研究室(生駒研究室)

教員

研究分野

物理化学,スピン化学,光化学

研究テーマ

  1. 有機分子性薄膜における光伝導機構の解明
  2. 有機薄膜太陽電池の光電変換機構の解明
  3. 分子集合体における光酸化還元反応の機構解明

研究概要

 有機薄膜太陽電池を始めとした有機機能性材料は従来の無機材料に比べて、安い、柔らかい、簡単に作れるなどの利点があり、近年注目を集めています。しかしこれらの材料は従来のシリコン半導体等の無機材料と比べて電気が流れにくいなどの問題があり、実用に耐えられる物質は非常に少ないです。私たちは有機分子性材料の高機能化に向けて、その光学的、電気的、磁気的な性質を支配するメカニズムを解明し、機能制御できるようになることを目指して研究を行っています。

 これらの性質は分子の結合や分子間の会合を担う電子の状態が重要な役割を果たしていますが、電子の「動き」を様々な手法によって観測したり制御したりすることで機能性材料の中で起こっていることが理解できます。電子の軌道運動は大きなエネルギーを持っていますが、光のエネルギーによって制御したり観測したりすることができ、このような手法は分光学と呼ばれます。一方、電場を用いると電子の電荷を検出したり、また運動を制御したりできます。さらに、電子には「スピン」とよばれる角運動量があり、これは物質の磁気的な性質を支配しているため、磁場によって観測・制御が可能です。私たちはこれらの3つの手法をうまく組み合わせた独自の方法を用いて、物質中の電子の動きを観測しています。特に磁場を用いたスピン動力学に着目した実験的・理論的研究を行っています。

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