研究紹介

原子核実験研究室

教員

研究分野

不安定核物理学、放射線物理学

研究テーマ

  1. 原子核相互作用/反応断面積測定による原子核半径および密度分布研究
  2. 不安定核ビームを用いた原子核の電磁気モーメント測定研究
  3. 超微細構造相互作用を利用した核物性研究

研究概要

 全ての元素の最小単位である原子は、中心に正の電気を持った原子核の周りを負の電気を持った電子が電気引力によって回っています。そして原子核は正の電気を持った陽子と電気を持たない中性子が組み合わさってできています。その大きさは一兆分の一センチという非常に小さく、陽子と中性子は核力と呼ばれる非常に強い力で結びついています。私たちはこのようなミクロの世界の原子核についてその大きさや形などの諸性質を実験的に調べ、原子核についての普遍的に成り立つ描像を得るための研究を行っています。

 原子核を形作る陽子と中性子の数の組合せには規則性があり、原子番号の小さいところでは両者が同じ数に、大きくなると中性子の数が増えてきます。もしこの組合せからずれてくると原子核は不安定となり、様々な放射線を出してより安定な原子核へと変わります。安定に存在する原子核の数は約250個ほどですが、これまで不安定な原子核は3000個ほど見つかっており、理論的には6000個ほどあると予想されています。かつては原子核研究は安定核近傍に限られていましたが、粒子加速器技術や放射線検出技術の発展により安定核から大きく離れた不安定核領域の研究が可能となってきました。我々は世界一の不安定核ブーム生成が可能な理化学研究所のRIビームファクトリーやがん治療研究のための放射線医学総合研究所のHIMACにおいて不安定核の様々な性質を調べています。ここでは原子核が安定領域からもうこれ以上先には原子核が存在できないドリップラインと呼ばれる領域に変化するにつれ、その大きさや形などがどのように変化するかを調べています。また素粒子実験研究で有名なCERN研究所にある不安定核実験施設ISOLDEでは不安定核を絶対温度約10mKの超低温状態に不安定核を置き、その電磁気モーメントの測定も行い原子核構造の研究も行っています。

理学を目指すあなたへ

 自然科学は長い歴史に多くの人々の力で発展してきました。皆さんが修めるべきことは膨大で驚くかもしれませが一歩一歩確実に進めていけば道は開けるでしょう。そして皆さんが新たな科学の一歩をしるすことを期待しております。